
レイクサイド・マーダーケース鑑賞。
原作東野圭吾、監督青山真治、主演役所広司、と最高のメンツで作られたこの映画は、私が映像作品に求める二つの要素、「リアル」「シュール」を存分に含んだ作品であった。
青山真治は私が最も尊敬する映画監督だ。
作風、監督業の巧みさだけではなく、生き方、言動、好みも、私と似た臭いを感じる。私の進化の先にある人物だと思っている。
彼は現代音楽にも精通しており、偉大な音楽批評家、間章(あいだあきら)のドキュメンタリー映画「AA」の製作も指揮したりしている。
(((音楽批評家と言えば、今日、北里義之のmixiを発見。)))
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=1141377また、彼はアート雑誌STUDIO VOICE11月号でこう述べている。「ぼくは絵としての成立じゃなくて、人間の躍動を瞬間的に捕まえたいんだ。」
その言葉通り、この「レイクサイドマーダーケース」においても、マルチカメラという手法を取る事によって、リアルタイムでカットを交差させ、人間の感情の変化を空間や時間を超越した視点で捉えることに成功している。
人間の根底の部分が表面化した瞬間、その一瞬しか垣間見えないはずのモノを余す所無く映像化できている。
芸術とは、飾り立ての表面的な意匠よりも、そういうよりラディカルな部分にこそ現れるものではなかろうか。
それを表現することこそが、アーティストたる証となるのではないだろうか。
青山氏は、だからこそ即興音楽など、感覚的な部分が結晶化するその一瞬一瞬に興味があるのだ。
本当に人を心の底から感動させることが出来るのは、人間の内なるダイナミズムだけである。
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